The Accessible
Land of the Rising Sun
By Liz Carr 3 June 2009
By Liz Carr 3 June 2009
私はちょうど日本から帰国した所です。長旅を要して日本に行く旅行者の殆どは、お花見、相撲や寿司が目的。しかし、私は違います。
私の訪問の第一目的は、車いすが利用出来るエスカレーターに乗ることでした。私が言うエスカレーターとは、特別な「障害者専用」のからくり物の事ではなく、また、通常のものの段差でうしろに傾けられて不安定な状態に保たれる事でもない。車いす利用者が、他の人と肩を並べて移動することができる、というエスカレーターの事です。私がどこでその存在について最初に知ったかは、覚えていません。もしかすると、この動く不思議で驚異的なものはただの想像の産物でしかないのかも。または、訪れる事ができる都市伝説を聞いたのでしょうか?真実を探るために、私は日本を訪れる事にしました。
到着の際に私が発見した事はというと、日本は私が過去訪問した諸国の中で、一位を競うほどの「障害者に優しい」国である事。各階には車いす利用者の為に手すりが備えられ、視覚障害者を導く突出模様のマークがある。私はあらゆる年齢の障害者を見たし、その障害は彼らの毎日の生活と共にある。私を凝視してくる人は、イギリスよりも日本の方が少なかった。
いくつかの点は世界中で同じです。いわゆる、「彼女は紅茶に砂糖を入れるのかしら?」症候群とは障害者自身にではなく介護者に話かける事を言うのだけれど、日本の人たちといえば、日本語が流暢な私の秘書にではなく、私に対してその鳩の鳴き声の様な英語で話しかけてくる。
私のガイドブックは、日本のトイレとは地面に恐ろしい穴が開いたタイプだと警告していたので、臥虎藏龍のような特殊なものを自分で持って来た。実際には、障害者用トイレは通常の高さがあるだけではなく、その空間そのものがとても広く、おむつ替え等が出来る様に折りたたみ式のベッドがあり、夢見る全てのあらゆる最新設備管理が備わっている簡易空間でした。
技術革新で知られる日本なので、多目的トイレが宇宙船エンタープライズ号の「制御室」みたいでも驚くに値しないのかも知れません。自動ドアにより中に入ると、指も持ちあげないうちに点灯される。便座に座ると、自分の設定した温度に温められます。ボタンを押すと下から水の流れる大きな音が流れます。別のボタンを押すと「強力な消臭剤」であらゆる悪臭を消してくれます。さらに、用を足し終えたあとはウォシュレット機能の洗浄、送風で乾燥もされるのです。RADARキーというイギリス内で鍵をかける公衆トイレに入る為のキーなどは、これら全ての工程に一つも用いる必要もないのです。比較してみると、あの何も代わり映えのしない流し機能、置き忘れられたかのような手すり、オレンジ色の緊急用ひっぱりカードなど、自分たちの多目的トイレがほとんど呆れる程に原始的なものに見えます。
私はやっとの思いでそのトイレの心地よさから抜けだし、東京駅に向かう電車に乗るために本来の便利エスカレーター探索を再開。日本の鉄道システムは、正確性と速さを追求するために一新されたのですが、私が経験から思った事は、便利性についても知らされるべきだと言う事でした。駅に到着し、仮に私が事前に予約手配を行っていなかったとしても(衝撃的恐怖ですよね、知ってます!)、白い手袋にかっこいい紺の制服に身を包んだ一人の係員が車両まで案内し、ものすごく小さな隙間にも傾斜のある板を敷いて通してくれました。(排尿臭さもない)エレベーターはちゃんと動き、全ての駅には標識と点字地図もあり、全ての電車には車いす用スペースと優先席(お年寄り、妊婦や幼児を連れた方、その他の障害を持つ方を対象)が設計されている。実際に、全ての移動は、はじめから終わりまで便利なものでした。
ところで、日本文化のいくつかの側面に対し、個人的に少し不便だなと感じる事もありました。中腰の姿勢を取らない私や他の人にとって、日本では伝統的な靴を脱ぐ、床に座る、布団で寝るなどの事に若干の問題がありました。そして、箸を使用して食事を行う事にもちょっとした問題がありました。熟練した人が、その木製の用具を用いてバターを塗り、ヨーグルトを食べ、米粒を摘みあげるところを、畏敬を持って見ていました。私は自分の左手で下から右手をおさえ、箸を突き刺してやっとこ食べました。そして秘書を除けものにした私は、ありがたい事にナイフとフォークを関税から密輸することができたのでした。
ほとんど神話に近い便利なエスカレーターの探究は、私たちが帰国路に着く直前に終盤を迎える事に。それは、東京ビックサイト展示場にありました。私が想像していたものとは違っていて、従業員はどなたもその存在すら知らず、私の訪問までにそれを利用した人はいません。完璧な調和の中で障害者と健常者が肩を並べてエスカレーターに乗る、という私の夢は砕かれてしまったのですが、なんせ今私はその目の前にいるわけですし、試してみたいではありませんか。
あの“ジムが治します”の様な感じで、私の夢を実現させる為に、7人の従業員が集まり操作方法を検討します。最終的に、彼らがすべき事といえばボタンを押し、通常の3段が並んで平な状態にする事でした。私が車いすを進めてその上に乗せたら下に到着、早過ぎて何が何だか分かりません。そんなに簡単な事だったのだと自分を納得させるために、もう一度やるしかないな。という事でもう一度試し、その後またもう一度試す。午後の間中ずっと繰り返したのでした。それは、宇宙船エンタープライズ号トイレよりも更に上を行くもので、もし予約済の帰国便の心配がなければ、私はまだ今だにそこにいるかも知れません。