2013年8月25日日曜日

認知行動療法で私たちの脳は変わるのか?


Can cognitive behavioral therapy really change our brains?
6 August 2013 Last updated at 20:15


認知行動療法で私たちの脳は変わるのか?

認知行動療法(CBT)は、うつ病や摂食障害、恐怖症やOCD(強迫性障害)など、広範囲にわたる精神衛生上の問題を治療するために使用される対話療法の一種です。私たちの誰もが日々の生活で役立てることが可能かもしれないこの手法では、自分自身を異なる角度から見つめる事を勧めています。では、CBTによって私たちの脳では何が起こるのでしょうか?


認知行動療法とは?
CBTは、問題が起こる原因は状況自体にはなく、その状況を私たちがどのように解釈するかにある、という考えに基づきます。これらは、私たちの感情や行動に影響します。

 状況に対する私たちの考え方(思考)が、私たちがどのように感じ、どのように行動するかに影響します。


例えば、あなたの知人が挨拶もせずに横を通り抜けた時に、あなたはどのように行動しますか?

あなたは、知人があなたの事が嫌いなので無視した思い、その思いは「拒絶された」あなたに感じさせるでしょう。そして、次からその知人に会う事を避けたくなるでしょう。この感情は両者により悪い感情と「拒絶感」を抱かせ、最終的にあなたが自分の事を「好かれる人間ではない」はずだと思うまで続くでしょう。このような事が複数人に対して起きると、あなたは社会から遠ざかり始めます。

しかし、そもそもあなたは、どれくらい正確に状況を解釈していたのでしょうか?

CBTは、私たちの思考に入り込む役に立たない方法の反応を特定し、負の悪循環を打ち破る事に焦点を置きます。
「感情的な理由づけは、人の思考の中では非常によく起こる誤りです。それは、あなたがどのように感じているかによって、何を真実だと思い込むか、という事でもあります。」キングス・カレッジ・ロンドンの臨床心理コンサルタントのジェニファー・ワイルド医師はこう説明する。

CBTはこれらの負の考え方を、もっと役に立つ現実的なものに入れ替えるよう取り組みます。
精神衛生上の障害を持つ人にとって、これは難題になるかも知れません。なぜならば、彼らの考え方が完全に証明されてしまうからです。

負の考え方の変え方
私たちは、「負の強化」と呼ばれる行程を通して後ろ向きの考え方を学習する、と示唆する心理学理論があります。

例えば、あなたがクモに対して恐怖心を抱いている場合、クモを避ける事によって自分の不安が減ることを学習します。従って、あなたは短時間に不安を減らすという報いを受けたのですが、恐怖心は強調されるのです。

恐怖症や不安障害を抱える人は、これらの学習を忘れるために「段階的暴露」と呼ばれるCBTの手法を利用します。段階的に恐怖の対象と向き合い、無害であるという事に気づく事で、脳が対象を怖がらなくなるようにゆっくりと再訓練する事が可能なのです。

認知行動療法は私たちの脳でどのように働くのか?
恐怖などの原始的な生存本能は、大脳辺縁系と呼ばれる脳の一部分が担います。この中には、感情をつかさどる扁桃体と呼ばれる部位や、トラウマ(心的外傷性)の記憶を追体験する海馬と呼ばれる部位が含まれます。

脳スキャンの研究では、CBTのコースを受講した恐怖症を持つ人の脳のこれら二カ所の部位の過活動が正常に戻った事が示されています。

更に、CBTはより高度の思考を担う脳の部位である前頭前野皮質に変化を加える事も発見されました。
従って、CBTは私たちの「感情脳(本能)」と「論理脳(思考)」の両方に実際に物理的な変化を加える事が可能であると考えられます。

面白い事に、類似した脳の変化がCBTと薬物療法で見られており、心理療法と薬物療法が脳で並列した方法で働く事が示されています。

認知行動療法の効果はどれくらい?
対話療法の中で、CBTには効果の臨床的証拠が最も多くあります。

研究では、少なくとも多くのタイプうつ病や不安障害の薬と同等の効果がある事を明らかにしています。
しかし、多くの薬と異なり、CBTの副作用はわずかです。比較的短いコースの受講後でも、長期の効果があると述べる人もいます。

PTSD(心的外傷性ストレス障害)や社会不安障害を対象に治験を行いましたが、彼らが治療を止めた後でも改善が続く事がわかりました。その理由は、彼らが新しい手法を獲得し、行動や考え方を自分で変えたからなのです。」ワイルド医師はこう説明します。

しかしながら、CBTはすべての人に用いられる訳ではありません。

CBTは今現在に取り組む事に焦点を当てるため、例えば幼少期に根付く精神的問題など、より複雑な根をもつ人には、これらを細かく調べる他のタイプの長期治療が必要になるかも知れません。

また、CBTは治療セッションの合間に出される「課題」の約束に重点を置きます。そして、恐怖や不安に立ち向かう事も求められる可能性があるので、継続が困難に感じる時もあるでしょう。

他の様々な治療と同様、中には他の人よりも多くCBTの効果を得る人もいるでしょう。心理学者や神経科学者がその背景の解明を始めています。





てんかん;基礎 - 全般発作


Epilepsy action Generalized seizures


全般発作のてんかん活動は、患者の両側の脳半球で起こります。全般発作の主なタイプには、強直間代発作、欠神発作、ミオクロニー発作、強直発作、脱力発作があります。

強直間代発作が起きた場合は、床に倒れます。全般発作の中には、てんかん活動が脳のわずかな部分を逃し、よって患者の症状がより限定的になるタイプもあります。例えば、欠神発作の場合は床に倒れません。ミオクロニー発作の場合、体の一部分が痙攣する症状が出て、倒れる事は稀です。

強直間代発作
強直間代発作は、一番一般的かつ良く知られている全般発作です。このタイプの発作には、「強直」段階、そしてそれに続く「間代」段階の二段階があります。

強直段階
患者は意識を失い、起立していた場合は床に倒れるでしょう。全ての筋肉が収縮するため、体は硬くなります。筋肉の収縮によって強制的に肺から空気が押し出されるため、叫ぶかも知れません。呼吸のリズムが変わるため、肺の中の酸素が通常よりも少なくなります。この事により、患者の体内で循環する血液の赤みが減ります。よって肌(特に口の周りと指の爪)の色が青くなります。これを「チアノーゼ」と呼びます。また、頬の内側や舌を噛む事もあります。

間代段階
間代段階は、強直段階の消失後に始まります。筋肉が順々に収縮と弛緩(ゆるむ)をするため、患者の手足は痙攣します。時には、失禁や脱糞をすることもあります。発作を止める事は不可能で、患者の手足にケガを負わせる可能性があるため、押さえつけようとするべきではありません。

強直間代発作の後は
しばらくすると、筋肉が弛緩し全身の力が抜けます。患者は徐々に意識を取り戻しますが、もうろうとなる、または混乱するかも知れません。次第に正常に戻りますが、しばらくの間は何も思い出す事ができないかも知れません。通常は眠気、頭痛、手足の痛みを感じます。回復にかかる時間は患者によって異なります。患者の中には、自分がしていた事にすぐに戻りたがるかも知れません。短時間の睡眠が必要な人、またはしっかりと休息をとる必要がある人もいます。

発作後状態
発作の後の状態を意味します。強直間代発作の後は大変混乱する患者もおり、また、疲労や記憶を喪失する事もあります。これを発作後状態と呼びます。発作後状態は、数分から数日間続く事もあります。

欠神発作
欠神発作の最中の数秒は意識がなくなります。空想をする、または電源を切った状態になります。周囲で起きている事が理解できず、その状態から抜け出す事ができません。

誰もがいつでも空想する事ができるため、欠神を発見する事は非常に困難です。一日の間に数百回の欠神発作を起こす可能性もあり、患者は日々の活動を十分に行う事から遠ざけられるでしょう。また、患者は出来事や細かい情報を見落とすかも知れません。注意や集中の欠落などと誤解される可能性があります。

ミオクロニー発作
ミオクロニー(myoclonic)という言葉は、myo:筋肉と、clonus:痙攣に由来します。従って、ミオクロニー発作では筋肉が痙攣します。

ミオクロニー発作は、時に全身の痙攣を引き起こす事もあります。より一般的には片方、もしくは両腕、そして頭部の痙攣を起こします。外見上ではわかりませんが、発作の最中患者はごく短い時間意識を失っています。

発作が短くても患者にとっては非常にもどかしいものです。例えば、飲み物をこぼすなどの似た様な事が起こるからです。

ミオクロニー発作が一番起こり安い時間は、朝目覚めた直後です。
ミオクロニー発作は、眠りに入る時に起こる痙攣と似ていますが、眠りに入る時に起こる痙攣はてんかんではありません。

強直発作
強直発作ではすべての筋肉が収縮します。体は硬直し、患者は支えが無いと倒れます。強直発作は20秒以内に消失し、寝ている間に起こる事が多いです。

脱力発作(転倒発作、または無動発作)
脱力発作ではすべての筋肉の緊張が失われ、患者は床に大きく倒れます。発作は短時間で終わり、通常患者は直ちに立ち上がる事ができます。また、その後の混乱はありません。

脱力発作が起きた時、患者は通常前方に倒れるため、家具や他の硬いものに頭を打つ危険性があります。脱力発作を頻繁に起こす患者には、更なる安全と予防措置のために、ヘルメットの装着が望ましいでしょう。

終わりに
これまでに、一般的な発作のタイプや、発作が起こる脳の部分について触れて来ました。発作は人によって異なるという事を是非覚えていてください。仮に発作が他の患者のそれと似ていても、彼らの発作の原因が同じである、または同じ治療を受けるべきだという事ではありません。

てんかんについてより詳しく知りたい場合は、かかりつけのてんかん医、てんかん専門看護師やかかりつけ医に相談しましょう。

熱性けいれん
http://www.epilepsy.org.uk/info/seizures/febrile-convulsions

医師は、38度かそれ以上になった体温の事を発熱と定義します。熱性けいれんは6ヶ月から3歳の子供によく見られます。通常これらは強直間代発作ですが、一般的ではないながらも焦点的発作の場合があります。扁桃腺炎や歯が生える時に起こる発熱など、幼少期の病気と関係しています。

熱性けいれんはてんかんではありませんが、熱性けいれんを起こした子供がてんかんに罹患する可能性は、一般の他の子供に比べると高めです。




2013年8月24日土曜日

てんかん;基礎 - 焦点性(部分)発作


Epilepsy Action Focal (partial) seizures


焦点性(部分)発作
この項では、患者の脳の異なる葉(部分)で起こる部分発作の症状について触れます。

側頭葉における焦点性(部分)発作
側頭葉における焦点性発作は良くみられます。

側頭葉は様々な機能を担います。例えば、聴覚、発話、記憶や感情などの機能です。

側頭葉における焦点性発作の一般的な症状は以下の通りです。
l   発熱、発汗、顔が非常に青ざめる、胃に不快を感じる
l   対象物が実物よりも小さく、もしくは大きく見える
l   幻聴や幻が見える
l   実際には存在しない匂いがする
l   実際には存在しない味を感じる
l   恐怖感、パニック感、悲しみや幸福を感じる
l   身の回りで起きている事から切り離された感覚を覚える
l   気持ちが悪くなる
l   鮮明な記憶が「フラッシュバック」する
l   実際には起きていない過去の経験を確信する「デジャヴ」のような激しい感情を持つ
l   身近な物事を認識することができない。「ジャメヴ」とも呼ぶ
l   噛む、口を鳴らす、飲み込む、頭を掻きむしるなどの行動
l   ボタンを触る、または服に付いているものを取り除く
l   何をしているか自覚せずに、目的地もなく放浪する

前頭葉における焦点性(部分)発作
前頭葉における焦点性発作は良く見られます。

前頭葉は様々な機能を担います。例えば、動作、感情、記憶、言語、社会的及び性的行動などです。また、前頭葉は人格の本拠地であるとも考えられています。

全ての前頭葉発作に周囲の人が気づく訳ではありません。しかしながら、中には異常かつ劇的に見える前頭葉発作もあります。この事から、誤って患者がてんかんではない他の病気の診断を受けることは良くあります。

前頭葉における焦点性発作に良く見られる症状は以下の通りです。
l   片方へ頭を傾ける
l   腕や手が硬直し、上方へ持ち上げられる
l   足が自転車をこぐような動きをする
l   腕をたたく
l   複雑で滑稽な体の動きをする
l   発話や理解に問題がある
l   性的な感情を覚え、また性的な行動をとる
l   叫ぶ、罵る、または泣き叫ぶ
l   排尿や(または)排便の自制を失う

ジャクソン型発作
「ジャクソン型」発作は前頭葉発作における特定のタイプです。通常はけいれんや震えの動きが起き、短時間で消失します。これらは指から始まり、そして手全体から腕にゆっくりと進行します。その後、筋力の低下が短期間起こる事もあります。

トッド麻痺、Todd麻痺
トッド麻痺、またはTodd麻痺は、焦点性発作に続き、特に前頭葉発作で見られます。この麻痺は数分から数時間続き、発作に関与していた体の部分で起こります。

頭頂葉における焦点性(部分)発作
頭頂葉における焦点性発作はまれです。

頭頂葉は体感の機能を担います。頭頂葉における焦点性発作は、奇妙な肉体的感覚を起こします。うずく、または体の一方を虫が這い降りる感覚が典型的です。このタイプの発作はまた「知覚的」発作としても知られます。

後頭葉における焦点性(部分)発作
後頭葉における焦点性発作はまれです。

後頭葉は視覚の機能を担います。後頭葉で焦点性発作が起こると、物の見え方に影響がでます。光の点滅や丸い光を見る、少しの間視覚が無くなるなどが典型的な症状です。

焦点性(部分)発作から全般発作への進展
中には、強直間代発作が起きる時に、「前兆」として知られる警戒感を抱く患者もいます。通常は短く、患者は毎回の発作時に同じ警戒感を抱きます。実際にはこの前兆も、患者の脳の一部で起きているてんかん活動(焦点的発作)なのです。患者の両側の脳半球にてんかん活動が広がると、強直間代発作になります。前兆を感じた場合、その患者は毎回同じ前兆を感じる傾向を持ちます。そして、通常は短時間で消えます。

前兆は非常に便利です。なぜならば、患者が安全な場所に行きつくための時間が与えられ、また、これから発作が起きる事を周囲に知らせることもできるからです。しかしながら、てんかん発作は両側の脳半球に早急に広がるため、患者は直ちに強直間代発作を起こしたようにも見えるでしょう。


てんかん;基礎 - てんかんの発作


Epilepsy Action Epileptic seizures explained


はじめに
てんかんの診断が下った場合、その患者は今後も発作(または「ひきつけ」ともいう)を起こす傾向にあるという事です。通常、発作が2回以上起きた後にてんかんの診断が下ります。

発作は、脳のあらゆる部分で起こる可能性があります。脳は、私たちの意識や体のすべての機能を担います。発作の際中に体験する事は、脳のどの部分で発作が起きているかによって異なるのです。

この項では、てんかん発作の中で最も一般的なタイプを、簡単に解説します。

脳の構造





緑;後頭葉
紫;頭頂葉
赤;前頭葉
黄色;側頭葉

発作はなぜ起きるのか
私たちの脳内では、常に電気的活動が起きています。てんかんは、脳内で突然激しい電気的活動が活発に始まる時に起こります。この激しい電気的活動は、脳の正常な働きを一時的に中断し、その結果、脳の信号が混乱します。その結果、てんかん発作が起こるのです。

この項で使用される「てんかん活動」という言葉は、このような激しい電気的活動をさします。

発作の始まり
発作は年齢に関係なく起こる可能性があります。発作型の中には、ある特定の年齢ではじまる事が多いものもあります。例えば、欠伸発作は主に幼児期に起こりますが、中には稀に大人になってから発作を起こす子供もいます。成人では、焦点性発作(または部分発作ともいう)が最もよく見られる発作型です。

発作の分類
ILAE(The International League Against Epilepsy 国際てんかん連盟)という、てんかん専門家の国際的な団体によって、様々な発作型の名称を載せた一覧表が作成されました。この一覧をILAE発作分類表(The ILAE seizure classification) と呼びます。発作型の名称は、この分類表に基づいて決められます。

発作に適切な名前が付けられる事は、医師にとって重要です。なぜならば、薬や治療法の中には、対象とする発作型が限られているものもあるからです。

発作型について
様々な発作型があり、また脳のどの部分でてんかん活動が始まるかによって分類されます。

焦点性(部分)発作
これらのてんかん活動は、患者の脳のたった一か所ではじまります。患者は、この種類の発作に対して警戒感を抱くか、何が起きているのかわからないかも知れません。自制の効かない動きがあるかも知れません。もしくは、異常な感覚や感情を認かも抱くかも知れません。中には、発作が起きている事に周囲にいる人々が気付かない事もあります。

焦点性発作は、非常に短いか数分で消失します。焦点性発作ではじまったてんかん活動が脳の他の部分に広がり、全般発作になる事もあります。

全般発作
全般発作は、患者の両側の脳半球(両半分)におけるてんかん活動です。通常、患者はこの種類の発作の際中は意識を失いますが、中には、発作がごく短時間なために誰も気づかない事もあります。筋肉の突っ張りやけいれんが起こり、起立していた場合は倒れるでしょう。