2012年8月16日木曜日

ビーガンの恋愛事情 - 動物の苦痛なしに愛を手に入れる


Vegan dating : Finding love without meat or dairy
By Robin Banerji, BBC World Service
15 August 2012 Last updated at 23:34 GMT

肉、牛乳、魚や卵を食さない事が健康の利点であるとしても、菜食主義は未だに少数派の習慣である。その為、ビーガンがビーガンとのデートを望んでも相手探しに苦労をする事もある。

出版業者のAlex Bourkeは厳格なビーガンである。彼はどのような動物性の商品も食べない。彼が最近まで付き合っていた最後の2人もビーガンであったが、現在、彼は独身である。そして、彼は“ビーガン・ラヴ”を求めている。

“僕は過去に肉食の人ともデートをした事があるし、またベジタリアンやビーガンともデートをした事がある。ただ単に、僕が相手の食べているものを食べるとか、相手が僕の食べているものを食べる、という事が出来ると煩わしさが無いのです。”Bourkeは言う。

しかし、彼を同じ食習慣の誰かを探し求めるように仕向けさせているのは便利性だけではない。そこには倫理に対する想いもある。Bourkeにとって肉を食べるという事は道徳に反するのである。

“肉を食す人々を容認する事は、自分の子供に暴力を振るう人々を容認できない事と同様に僕には不可能だ。畜産農業に限らずあらゆる種類の動物産業に少しでも関わったり、その残虐に関与する事はしたくない。僕はチーズが原因で別れた事もあるよ。”彼は言う。

“毎週レストランに食事に行き、そこで沢山の友達に会う。中にはとても魅力的な人もいて、たまには何かが起きる事もある。”Bourkeは言う。“誰かとキスをした時に、歯の間に挟まっていたのは何だったんだろう?と考えたりする面倒を持ちたくない。”

ビーガンの友を探す事は、干し草の山の中から一本の針を探し出すような事である。

英国ビーガン協会の見積もりでは、英国におけるビーガン人口は、総人口6500万人に対して僅か150、000人である。約400人に1人である。

米国での率は少しマシである。ベジタリアングループの見積もりでは、総人口3億1300万人に対して200万人、大体にして150人に1人といった所だ。2週間前に公表されたギャラップ世論調査では逆に、アメリカ人の2%がビーガンであると指摘する。

Bourkeと同様、ロンドンっ子であるRobb Masterにとっても、ビーガンではない人とデートする事を想像するのは困難である。16年に及ぶビーガン思想により、食生活は自己の一部になっている、と彼は言う。

彼いわく、ロンドンには20,000人のビーガンがいるという。

“沢山いるように聞こえるかも知れないけれど、でも総人口の1%、4分の1にも満たないよ。滅多にビーガンと出会う事なんて出来ないよ。”

その為、彼はビーガン会を結成し“Meet without meatという出会いの機会を提供する。

詳しい人によると、ビーガンの女性はビーガンの男性よりも数が多く、男性にとっては朗報だ。しかし、実際はそんなにうまく行くものではない、と彼は言う。ビーガンの女性は、ビーガンでは無いパートナーをより容認する事ができる様である。

“ビーガンの男友達と集まると、たまにビーガンの女性とビーガンじゃない男性たちについて不平を洩らす事もあるよ。”と彼は言う。

ニューヨークのArden Levineを例に取ろう。彼女が夫と出会った時、何度かのベジタリアン習慣を得てビーガンになったばかりであった。“私たちの2度目のデートの時に、彼は、ビーガンの料理本を2冊、探して買ってきてくれたの。彼のその誠実さに感激したわ。”彼女は言う。

ただし、彼女は肉を料理しないが、冷蔵庫に入れる事にはこだわらない。彼女の義理の父親は熱心な猟師で、今までに何度か鹿の肉を送って来ている。“私は主人が何を食べるか制限したりはしない。”こう述べる彼女は、聖人ぶった“ビーガン聖人”にはならないと付け加える。

もちろん、男性陣の中にも臨機応変になろうとする人もいるし、選択肢もわずかに多いのかもしれない。

Gary Maclndoe はスコットランド北部のアバディーンで生活をしていた12歳の時にビーガンになった。この地では、ビーガンの女の子と出かける望みすらほとんどない。

“アバディーンまで来るのは難しいよね”と彼は言う。

彼の彼女は、帰宅路に彼女の食べているミートパイを彼に勧める事がよくあったという。“彼女に僕は肉を食べられないという事を思い出させなきゃいけないんだ。”と言う。しかし、彼は彼女の食習慣を受け入れる。“完全に正反対の者同士が、お互いの理念を支持し合う関係もある。それが上手く行くんだよ。”

一方、ビーガン同士であるからこその困難もある、とBourkeは言う。

一つに、ベジタリアニズム(菜食主義)が主流である事が挙げられる。

“ビーガンが、社会的に扱いにくく、ひっそりとキャラバンに住み野菜を育てる愚か者ではなくなった”彼は言う。

ビル・クリントン元大統領は現在動物性製品を避けている、と彼は指摘する。

インターネットの普及で生活はより便利になり、veggieromance.com , veggievisiondating.comなど多くのベジタリアン向けの出会いサイトが機会と場を提供する。

彼らの提供するビーガン集会には国際色豊かな人々が存在するという。“比較的若い世代が多く、専門的であるが、バランスの良い集まりだ”と解説する。

しかし、相手探しや集会の後には、外の人たちを避ける事はできない。彼らは人生のパートナーを見つけるためにビーガンではない人ともデートをする必要がある一面を目の当たりにしてもなお、自身の食習慣を変える事はしない。

“自分は絶対にベジタリアンやビーガンとデートする事を好むけれど、誰と恋愛に発展するかなんて事を選べる人はいないよね”