Can
cognitive behavioral therapy really change our brains?
6 August 2013 Last updated at 20:15
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認知行動療法で私たちの脳は変わるのか?
認知行動療法(CBT)は、うつ病や摂食障害、恐怖症やOCD(強迫性障害)など、広範囲にわたる精神衛生上の問題を治療するために使用される対話療法の一種です。私たちの誰もが日々の生活で役立てることが可能かもしれないこの手法では、自分自身を異なる角度から見つめる事を勧めています。では、CBTによって私たちの脳では何が起こるのでしょうか?
認知行動療法とは?
CBTは、問題が起こる原因は状況自体にはなく、その状況を私たちがどのように解釈するかにある、という考えに基づきます。これらは、私たちの感情や行動に影響します。
状況に対する私たちの考え方(思考)が、私たちがどのように感じ、どのように行動するかに影響します。
例えば、あなたの知人が挨拶もせずに横を通り抜けた時に、あなたはどのように行動しますか?
あなたは、知人があなたの事が嫌いなので無視した思い、その思いは「拒絶された」あなたに感じさせるでしょう。そして、次からその知人に会う事を避けたくなるでしょう。この感情は両者により悪い感情と「拒絶感」を抱かせ、最終的にあなたが自分の事を「好かれる人間ではない」はずだと思うまで続くでしょう。このような事が複数人に対して起きると、あなたは社会から遠ざかり始めます。
しかし、そもそもあなたは、どれくらい正確に状況を解釈していたのでしょうか?
CBTは、私たちの思考に入り込む役に立たない方法の反応を特定し、負の悪循環を打ち破る事に焦点を置きます。
「感情的な理由づけは、人の思考の中では非常によく起こる誤りです。それは、あなたがどのように感じているかによって、何を真実だと思い込むか、という事でもあります。」キングス・カレッジ・ロンドンの臨床心理コンサルタントのジェニファー・ワイルド医師はこう説明する。
「感情的な理由づけは、人の思考の中では非常によく起こる誤りです。それは、あなたがどのように感じているかによって、何を真実だと思い込むか、という事でもあります。」キングス・カレッジ・ロンドンの臨床心理コンサルタントのジェニファー・ワイルド医師はこう説明する。
CBTはこれらの負の考え方を、もっと役に立つ現実的なものに入れ替えるよう取り組みます。
精神衛生上の障害を持つ人にとって、これは難題になるかも知れません。なぜならば、彼らの考え方が完全に証明されてしまうからです。
負の考え方の変え方
私たちは、「負の強化」と呼ばれる行程を通して後ろ向きの考え方を学習する、と示唆する心理学理論があります。
恐怖症や不安障害を抱える人は、これらの学習を忘れるために「段階的暴露」と呼ばれるCBTの手法を利用します。段階的に恐怖の対象と向き合い、無害であるという事に気づく事で、脳が対象を怖がらなくなるようにゆっくりと再訓練する事が可能なのです。
認知行動療法は私たちの脳でどのように働くのか?
恐怖などの原始的な生存本能は、大脳辺縁系と呼ばれる脳の一部分が担います。この中には、感情をつかさどる扁桃体と呼ばれる部位や、トラウマ(心的外傷性)の記憶を追体験する海馬と呼ばれる部位が含まれます。
脳スキャンの研究では、CBTのコースを受講した恐怖症を持つ人の脳のこれら二カ所の部位の過活動が正常に戻った事が示されています。
更に、CBTはより高度の思考を担う脳の部位である前頭前野皮質に変化を加える事も発見されました。
従って、CBTは私たちの「感情脳(本能)」と「論理脳(思考)」の両方に実際に物理的な変化を加える事が可能であると考えられます。
面白い事に、類似した脳の変化がCBTと薬物療法で見られており、心理療法と薬物療法が脳で並列した方法で働く事が示されています。
認知行動療法の効果はどれくらい?
対話療法の中で、CBTには効果の臨床的証拠が最も多くあります。
研究では、少なくとも多くのタイプうつ病や不安障害の薬と同等の効果がある事を明らかにしています。
しかし、多くの薬と異なり、CBTの副作用はわずかです。比較的短いコースの受講後でも、長期の効果があると述べる人もいます。
研究では、少なくとも多くのタイプうつ病や不安障害の薬と同等の効果がある事を明らかにしています。
しかし、多くの薬と異なり、CBTの副作用はわずかです。比較的短いコースの受講後でも、長期の効果があると述べる人もいます。
「PTSD(心的外傷性ストレス障害)や社会不安障害を対象に治験を行いましたが、彼らが治療を止めた後でも改善が続く事がわかりました。その理由は、彼らが新しい手法を獲得し、行動や考え方を自分で変えたからなのです。」ワイルド医師はこう説明します。
しかしながら、CBTはすべての人に用いられる訳ではありません。
しかしながら、CBTはすべての人に用いられる訳ではありません。
CBTは今現在に取り組む事に焦点を当てるため、例えば幼少期に根付く精神的問題など、より複雑な根をもつ人には、これらを細かく調べる他のタイプの長期治療が必要になるかも知れません。
また、CBTは治療セッションの合間に出される「課題」の約束に重点を置きます。そして、恐怖や不安に立ち向かう事も求められる可能性があるので、継続が困難に感じる時もあるでしょう。
他の様々な治療と同様、中には他の人よりも多くCBTの効果を得る人もいるでしょう。心理学者や神経科学者がその背景の解明を始めています。