Epilepsy
Action – Focal (partial) seizures
焦点性(部分)発作
この項では、患者の脳の異なる葉(部分)で起こる部分発作の症状について触れます。
側頭葉における焦点性(部分)発作
側頭葉における焦点性発作は良くみられます。
側頭葉は様々な機能を担います。例えば、聴覚、発話、記憶や感情などの機能です。
側頭葉における焦点性発作の一般的な症状は以下の通りです。
l 発熱、発汗、顔が非常に青ざめる、胃に不快を感じる
l 対象物が実物よりも小さく、もしくは大きく見える
l 幻聴や幻が見える
l 実際には存在しない匂いがする
l 実際には存在しない味を感じる
l 恐怖感、パニック感、悲しみや幸福を感じる
l 身の回りで起きている事から切り離された感覚を覚える
l 気持ちが悪くなる
l 鮮明な記憶が「フラッシュバック」する
l 実際には起きていない過去の経験を確信する「デジャヴ」のような激しい感情を持つ
l 身近な物事を認識することができない。「ジャメヴ」とも呼ぶ
l 噛む、口を鳴らす、飲み込む、頭を掻きむしるなどの行動
l ボタンを触る、または服に付いているものを取り除く
l 何をしているか自覚せずに、目的地もなく放浪する
前頭葉における焦点性(部分)発作
前頭葉における焦点性発作は良く見られます。
前頭葉は様々な機能を担います。例えば、動作、感情、記憶、言語、社会的及び性的行動などです。また、前頭葉は人格の本拠地であるとも考えられています。
全ての前頭葉発作に周囲の人が気づく訳ではありません。しかしながら、中には異常かつ劇的に見える前頭葉発作もあります。この事から、誤って患者がてんかんではない他の病気の診断を受けることは良くあります。
前頭葉における焦点性発作に良く見られる症状は以下の通りです。
l 片方へ頭を傾ける
l 腕や手が硬直し、上方へ持ち上げられる
l 足が自転車をこぐような動きをする
l 腕をたたく
l 複雑で滑稽な体の動きをする
l 発話や理解に問題がある
l 性的な感情を覚え、また性的な行動をとる
l 叫ぶ、罵る、または泣き叫ぶ
l 排尿や(または)排便の自制を失う
ジャクソン型発作
「ジャクソン型」発作は前頭葉発作における特定のタイプです。通常はけいれんや震えの動きが起き、短時間で消失します。これらは指から始まり、そして手全体から腕にゆっくりと進行します。その後、筋力の低下が短期間起こる事もあります。
トッド麻痺、Todd麻痺
トッド麻痺、またはTodd麻痺は、焦点性発作に続き、特に前頭葉発作で見られます。この麻痺は数分から数時間続き、発作に関与していた体の部分で起こります。
頭頂葉における焦点性(部分)発作
頭頂葉における焦点性発作はまれです。
頭頂葉は体感の機能を担います。頭頂葉における焦点性発作は、奇妙な肉体的感覚を起こします。うずく、または体の一方を虫が這い降りる感覚が典型的です。このタイプの発作はまた「知覚的」発作としても知られます。
後頭葉における焦点性(部分)発作
後頭葉における焦点性発作はまれです。
後頭葉は視覚の機能を担います。後頭葉で焦点性発作が起こると、物の見え方に影響がでます。光の点滅や丸い光を見る、少しの間視覚が無くなるなどが典型的な症状です。
焦点性(部分)発作から全般発作への進展
中には、強直間代発作が起きる時に、「前兆」として知られる警戒感を抱く患者もいます。通常は短く、患者は毎回の発作時に同じ警戒感を抱きます。実際にはこの前兆も、患者の脳の一部で起きているてんかん活動(焦点的発作)なのです。患者の両側の脳半球にてんかん活動が広がると、強直間代発作になります。前兆を感じた場合、その患者は毎回同じ前兆を感じる傾向を持ちます。そして、通常は短時間で消えます。
前兆は非常に便利です。なぜならば、患者が安全な場所に行きつくための時間が与えられ、また、これから発作が起きる事を周囲に知らせることもできるからです。しかしながら、てんかん発作は両側の脳半球に早急に広がるため、患者は直ちに強直間代発作を起こしたようにも見えるでしょう。