アリソン・カー医師
水治療法は、レット症候群のような重度の障害を抱える人々にとって最も重要な理学療法の一つです。このような形態の治療法が重要である理由はいくつかあり、それらは障害の特性に関連します。
- レット症候群は、随意運動(訳注;自己の意思あるいは意図に基づく運動の事)を考え行う自由を失わせる運動障害を引き起こします。つまり、歩行を完全に習得できない、または習得が不可能である事を意味します。水中で行う自発運動はより達成しやすいので、多くの動作が低下しますが、水泳や他の動きを伴う水中の運動は引き続き行う事が可能なのです。
- 動作に問題を引き起こす障害には恐怖心が含まれ、それは、床から離れたところに置かれた状況に気づいた時に知覚障害によって誘発されると考えられています。水の表面に接近する事や、水によって手足が支えられる事でこの恐怖心を減らすことができます。また、プールの底を歩くことに自信をつけ、たとえ泳がなくても自分自身の舵取りをさせる事ができます。
- 寒さや騒音は、恐怖心やうちに引きこませる原因には、寒さや騒音があげられます。そして、これらは運動の不随意障害 (手の常同運動や不規則な呼吸) を悪化させます。能動的訓練を始める前に、プールの中ではしっかりと支えられた姿勢で、暖かく、静かな状態である事が不可欠です。
- レット症候群には進行性の疾患がないにも関わらず、筋肉の量、強度や柔軟性が失われやすくなります。これは、既存の神経経路を使う通常の方法をとる能力が脳にない事が原因で、組織内部の栄養不足を招きます。筋肉と神経の健康維持には活発な運動が必要ですが、レットの方たちが陸上で行うことができる動きの種類はとても限られており、年を取るに従いその傾向が強くなります。理学療法では受動的な運動のみ達成が可能なため、理学療法だけを毎日行ったとしてもこの問題を克服することはできません。しかし、水中では最大限の範囲で行うことができます。
つまり、水治療法が不可欠な理由は、理学療法士の安全なケアと指導の下、暖かく静かな環境の中で起立する深さがあり、また水泳に十分な広さがある水の支えを得ることができるからです。運動障害を抱える人々が、水によって他の方法では得る事のできない運動のきっかけと補助を得られます。優秀な理学療法士と毎日行う水治療のサポートは、すべての年齢のレット症候群の方にとって中核を成す技法の一つになります。この文章があなたにとって明確である事を願いますが、どのような質問でも受け付けますのでお問い合わせください。
資料ソース
HYDROTHERAPY – WHY IT IS
SO IMPORTANT
Dr. ALISON KERR
RETT UK INFORMATION
SHEET
翻訳、編集;片目のにゃみ姉