アリソン・カー医師
日中に起こる呼吸のムラはよく見られ、レット症候群ではおそらく広く見られるでしょう。その多くは退行期が終わる頃にはじまり、基本的には,
規則正しい呼吸を担う脳幹の未成熟さによるものと考えられています。この事について我々はまだ多くの事を研究する必要があり、ヘメル ヘムステッドという街にあるブリークスピア・ホスピタルでは、ピーター・ジュルが英国における自律神経系の新しい研究の多くを手がけています。彼が寄与した論文のいくつかをRSAUK(訳注;英国レット症候群協会)も所有しており、長い章を載せた本(レット障害と脳の発達 –
Rett Disorder and the Developing Brain, 最新版 OUP
2005 ISBN 0-19-856815-0)もあります。
呼吸のリズムは毎分ごとに不規則に変化し、多くの人は複数の異なったリズムを取得してそれらを切り替えます。一部の人の呼吸は極端に浅く、また他の一部の人の呼吸は極端に活発です。興奮した人の呼吸ではムラがより目立つようになります。呼吸が最も不規則な時に気がついておどろくのはよくある事です。これはてんかんとは異なるため、その区別をするためにこれらの出来事を「発作的な無呼吸」と呼びます。てんかん発作と発作性の無呼吸の区別が難しい場合には、EEG(脳電図、脳波図)の継続的測定を行うと良いでしょう。測定中に意識変化が起きた場合は、それがてんかんの発作によるものか否かをEEGで見る事ができます。てんかん発作の最中はEEGに棘波が現れますが、典型的なレットの発作性の無呼吸の場合では現れません。レットの発作性の無呼吸が深刻な場合は、自律神経全般の測定を行うべきでしょう。測定にかかる時間は約一時間で、EEG、呼吸、心臓の活動、体内の酸素と二酸化炭素のレベルも同時に測定します。これらの測定では、体が必要としている事に対して脳幹の神経細胞がどのように応じているかをコンピューターが継続して計算し、モニターにうつしだします。従って、EEGを単独で行うよりもより多くの特有の問題を示す評価を得ることができます。ただし、レット障害を持つ全ての人はこの種の問題を抱えているようですが、その影響はそれぞれに特有で重要な違いがあります。この評価では発作性の無呼吸の発生について貴重な情報を得ることができるため、それらを論理的に管理することが可能になります。
呼吸のムラが完全に無意識で行われるものであると理解する事が大切です。なぜならば、「わざとやっている」という誤った仮定をして止めさせるために無駄な労力と時間が費やされることがあるからです。
幼少期に呼吸の異常が起こると、歩行のバランスと摂食がより困難になります。しかし、この時期に低下したスキルを後で取り戻すことが可能である、という事を知っておくと心の支えになるでしょう。活発な呼吸によって更に多くの体力と水分が使われるため、体重の管理をする事が大切です。
また、たくさんの水分をきちんと飲めているか確認する事が大切です。彼らが自身の呼吸の異常なコントロールに慣れて、多くの人がとても良い健康を維持し、長生きであるということを私達は忘れてはなりません。
資料ソース
Breathing Irregularities
Dr Alison Kerr
RETT UK INFORMATION
SHEET
翻訳、編集;片目のにゃみ姉