2013年1月23日水曜日

レット症候群翻訳メモ - 体重の減少と増やし方


体重の減少と増やし方


なぜ起こるのか?

レット症候群の早い時期では、多くの乳幼児は問題なく成長し体重も増えます。しかし、症状が出はじめ、また、とくに体調不良のあとには体重増加が遅くなり、最終的に減少します。レット症候群の成人でとくに行動的ではない場合は、肥満につながる過剰な体重増加が起こることがあります。ほとんどのレットの子供たちが体重の増加や維持に問題を抱え、その原因には食べ物を飲み込むことが困難である、また食欲がない、などが考えられます。空気を飲み込みお腹が張る事も原因になります。てんかんや過呼吸をコントロールする薬が食欲を抑え、自分で食事ができないイライラが原因で食べ物を拒む患者もいます。また、多くの患者が行動的でもあり、そのため同年代の人よりも高い栄養素が必要になることも事実です。

理想の体重はどれくらいか?

親は、自分の子供の体重が不足しているのか、そうでないのかを判断することが難しいと感じることがあります。一番簡単に判断する方法とは、目で確かめる事です。子供が裸の時に背中をみると、うすい脂肪の層で覆われて肋骨が見えないのが理想です。時に、子供のお腹が異常に大きく出ていることがありますが、これは通常肥満ではなく、空気を飲み込むことが原因で起こります。子供の身体測定は定期的に行うべきで、体重は1から2ヶ月に一度、身長は少なくとも1年に一度は測りましょう。これらの測定値は体重と身長のパーセンタイルグラフに図式化することができ、標準値と照らし合わせることができます。その他に、BMI(ボディマス指数)でも肥満度を評価することができます。

どの栄養素が大切か?

体重を失う際には、ただ体から脂肪が失われるだけではありません。脂肪の蓄えが減ると筋臓器組織(脂肪を含まない筋肉や臓器)も失われ、体からタンパク質、ミネラル、ビタミンやトレース元素(微量元素。銅、コバルトやマグネシウムなど。動植物に不可欠とされる元素)が失われて、またこれら栄養素の蓄えも壊されます。逆にいえば、健康的に体重を増やすためにはエネルギーを追加し増やすだけではなく、これらの栄養素も筋臓器組織に蓄えていく必要があるということです。我々には、レット症候群の患者それぞれに必要とされる栄養素が何であるかはわかりませんが、一般的には、必要なタンパク質、ビタミンとミネラルは通常と変わらないと考え、従って、必要な食べ物のエネルギーもしくはカロリーは、成長期には25−50%増加されます。



体重の増加がうまくいかない時はどうしたらよいか?

ほとんどの食べ物には数種類の栄養素とエネルギーが含まれています。脂肪には一番高いエネルギーが含まれますが、心臓の病気との関連性から、多くの親は子供に高脂肪の食事を与える事に不安をおぼえます。飽和脂肪や動物由来の脂肪を使い過ぎないことが大切であり、また、トウモロコシから作られるマーガリン、ひまわり油やオリーブオイルなどの不飽和オイルを使用することで起きる問題はないようです。成人には少量のアルコールを追加して与えても良いでしょう、食欲の増進にもつながります。重症度に合わせた、この問題の解決に取り組むための現実的な方法はたくさんあります。

サプリメント

通常の食事で十分な栄養素を与える事が難しい場合には、特別に作られる補助食品(サプリメント)の使用をおすすめします。中には簡単に購入できるものもありますが、多くはかかりつけの医師から処方や、薬剤師を介して手に入れることができます。サプリメントを使用する前に、栄養士に子供の食事内容をチェックしてもらい、一番合ったタイプをすすめてもらうのが良いでしょう。もし、タンパク質、ビタミンとミネラルが十分に摂れているなら、エネルギー補給サプリメントを使用することが可能です。また、これらの栄養素が不足しているのであれば、総合栄養補給サプリメント(栄養学的に十分な栄養素を含むサプリメント)を使用するべきでしょう。

管を使う

通常の方法で食事をとることが難しい事があり、そのような時は、あなたが何を試してみても体重は増えません。これは具合が悪い時の一時的なものかも知れませんし、将来にわたる長期的なものかもしれません。このような場合、あなたとあなたのかかりつけの医療チームは、流動食を与えるための管の使用を検討することになるでしょう。もし、3ヶ月程の短期間の使用であれば、径鼻胃チューブを使用するでしょう。これは、鼻腔から通した管の先を胃の中に入れた状態にする方法です。挿入は素早くかんたんに行う事ができ、多くの親が習得し、自分で行っています。しかし、残念な事にレットの患者の多くは頻繁に自分で管を抜こうとしてしまいます。このようなケースや、管の使用がより長期になる場合は、胃瘻(いろう)処置が必要になるでしょう。これは腹部に小切開術を行う処置で、胃に直接管を通します。衣服で管が隠れ、いじりにくくなります。どちらの場合でも、ビタミン、ミネラルやトレース元素など必要な栄養素を完全に含む特別流動食を使って食事を与え、通常の成長と発達を促しましょう。また、流動食の中には食物繊維も含まれるものがあるので、便秘の解消にもつながります。



おわりに

ありがたいことに、今日、私たちが成長するための手助けとなる幅広い食材、特殊なサプリメントや摂食のテクニックがあります。どのような方法が取られるにしても、食事は楽しく行われるべきであり、したがって、レット症候群の患者や彼らの世話や介護をする人たちがみな喜びを感じるべきである、という事を覚えておくことが大切です。



資料ソース
Dr Margaret Lawson, Paediatric Dietician (2007)
Commissioned by Rett UK
http://www.rettuk.org/rettuk-public/rettuk/Family-Support/information-summary/Medical




翻訳/編集;片目のにゃみ姉