2013年1月24日木曜日

レット症候群翻訳メモ - 診断による心への影響について


診断による心への影響について


はじめの反応

あなたの子供がレット症候群であることが最近になって伝えられたのであれば、おそらくは今もまだショックで動揺し、または感覚がマヒしたような状態で、受けた説明を受け入れる事が困難な状態でおられるかも知れません。あなたが子供に抱いていた夢や希望、期待などがすべて、あっという間に薄らぎ消えてしまうような感覚を抱くでしょう。あなたは大きな不安を抱え、混乱し、これから何が起こるかわからず、もしくは、パニックや怒りの感情を抱いているかも知れません。あなたが何を感じているにしても、それらの感情を抱くことはごく自然な事であり、診断を受けたことに対する正常で全うな反応です。しかしながら、心の痛みは変わらないでしょう。多くの場合、子供には特別な対応が必要であるということに気づいていくプロセスの始まりにこれらの感情を抱くことになります。

この時点で、あなたはレット症候群について何も知らない、もしくは既に何か知っているかもしれません。もしかしたら、手紙や電話で診断の一報を受け、それ以上の情報は受けていないかもしれません。あるいは、すでにインターネットで検索し得られるすべての情報を集め、そこで読んだ内容に恐怖を感じておられるかも知れません。

レット症候群であるという診断は、両親や兄弟をはじめ、祖父母、叔父や叔母、その他の人々を含む家族や親族すべての人に衝撃を与えるものです。あなたはショックを受け、孤独を感じ、周囲にどのように説明すべきか、と悩むでしょう。あるいは、何も語りたくないと感じるかもしれません。特にレットの患者には、できる事とできない事の能力にばらつきがあるので、将来起こりえることを考えて、あなたは恐怖を感じているかもしれません。おそらく、怒り、罪悪感、いきどおりや疲労感、しびれや不安感など異なった様々な感情のすべてを経験するかも知れません。

あなたは、「なぜ自分に起きたのか?」と感じているかもしれません。「なぜ私たちの身に起きたのか?」、「なぜ私の子供が他の子と違うのか?」、「何が原因なのか?」などなど。こういった疑問は、聞く事も、答えを出す事も難しいものです。あなたは、今向き合う現実に対して、自分に何らかの責任があると強く感じているかもしれません。「何か誤った食べ物や飲み物を口にしなかったか?」など、気づくと自分の行動を自問している事があるかもしれません。このような時には、レット症候群は遺伝子疾患であり、あなたが何をした、しなかった、という事とは無関係である、という事を思い出すことが大切です。



レット症候群とは?
         
レット症候群とは、主に女性に起こる神経障害で、約10,000人に1人の割合で起こります。最も一般的な遺伝子が原因で起こり、いくつもの深刻な学習障害をもたらします。生まれた時にはすでに持ちあわせており、症状は2歳頃により明白になります。通常、レット症候群の患者には一生涯にわたり日常の介護が必要になります。また、そのうちの大部分の方のX染色体にあるMECP2遺伝子に突然変異や異常が見られます。

1999年にこの遺伝子がレット症候群を引き起こすカギであると認識されて以降、この病気を持つ人たちの間で見える能力のばらつきがより明らかになりました。しかし、医師などの専門家があなたの疑問のすべてに答え、あなたの子供がどのように成長するであろうか予測をすることはできない、という事を覚えておく事が大切です。私たちは、今後、物事がどのようになるのか、という事について確信を持ちたがりますが、それが実現できない時にはとても不安になり、イライラすることになります。


レット症候群の診断の側面

診断という現実との直面には大きなショックをともない、また、一生涯に渡り高度な介護を必要とする可能性が高い、という見通しは圧倒的でもあります。

このような時期には、あなたを実践的にも、感情的にもサポートすることが出来る人々とつながりを持つ事が、とても大切です。辛い時に、もしもサポートをしてくれる身近な家族が少ない時やいない時には、友人や近所の人を頼る事も可能です。診断を受けると、まわりに誰かがいる、いないに関わらず、強い寂しさと孤独を感じるものです。もしあなたが孤独に感じていても、支援団体や同じ思いを持つ人からの支援と協力がそこにあるのだ、という事を覚えておく事が大切です。

あなたは、家族や友人、地域社会や医療機関からのサポートを得るための手配を行うことができます。自宅で行う介護の日常に慣れるまで時間がかかるかもしれません。また、中心になって介護を行う人を決める事も簡単ではないかもしれません。両親はそれぞれに独自の方法を見つけて解決し、もっとも維持することが出来ると感じる方法をとるでしょう。もしあなたが結婚や交際関係にあるのであれば、おそらく二人の間に不一致を感じる事があるでしょう。しかし、このような状況下ではごく自然のことです。なぜならば、両親や介護をする立場はストレスの多いものだからです。不一致を経験する事が無ければ逆に心配な状況といえます。なぜならば、それは感情が抑制されている事を示すからです。しかしながら、あなたが子供を愛する程にケアの需要は両親や介護者の自由を減らし、将来の選択肢にも影響を与えます。この現実を素直に認めて、お互い向き合って話し合いましょう。時には信頼のおける友人やカウンセラーを交える事も可能でしょう。

あなたはこれからも、レット症候群を知らない医師や看護婦などの専門家を含む多くの人を見かけるでしょう。そして、この事があなたの孤独感を強くするかもしれません。多くの親達が、同じような経験をもつ他の親達との会話が計り知れないほどに支えになると語ります。協会などの支援団体に連絡をする事で、あなたの話を聞いてくれる誰かとつながるかもしれません。そして、レット症候群の患者のケアで抱える実用的(日々の実践的なこと)、社会的(日々の社会生活で起こること)、感情的(気持ち)な問題を理解する他の介護者や家族たちと出会うことができるでしょう。話ができるという事は、サポートを受け、経験やためになる情報をシェア(共有)することができるチャンスでもあります。支援団体はまた、セラピーや、あなたが最も良いケアを維持するための研究情報について教える事ができ、また、その他のサービスも得られるようにあなたをサポートします。

診断を受けるという事は大変に苦しい経験ですが、しかし、あなたの子供がレット症候群であるという発見によって専門家が加わり、より焦点を定めることが可能になります。このことで、あなたのお嬢さん、もしくは息子さんの成長に最大限のチャンスを与え、彼らの能力を維持していく事が可能になります。

私たちサポートチームは可能な限り積極的であることをめざし、特に困難な時期のために構造化されたサポートを用意しています。また、介護者や家族が、似通った状況に遭遇した経験のある他の方と個人的に連絡をとるお手伝いもします。RSAUKは、私たちに連絡をくれた全ての方が、必要とするサポートを、彼らにとって正しい時期に受けることを願っています。

サポートチームへのお問い合わせは、電話もしくはメールでご連絡ください。







資料ソース
The Emotional Impact of Diagnosis
Witten by Rett UK






翻訳/編集;片目のにゃみ姉

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