2013年1月27日日曜日

レット症候群翻訳メモ - レット症候群の幼児患者へのサポート方法


レット症候群の幼児患者へのサポート方法



幼児期(1歳半から6歳ないしは7歳まで)は、レット症候群の子供たちが最も学習し、同時に症状によって発達が中断されてしまう時期(退行期)でもあります。医療の専門家にとっては、彼女が困難に苦しむこの時期に手を差し伸べ、必要なサポートを提供することができる最初のチャンスであり、また、障害の進み方を変えることができる、最も早いチャンスでもあります。この時期、家族は、おそらく一生涯にわたり必要になるであろう介護依存や、子供の発達の限界を目の当たりにし、とても大きなストレスを抱える時期です。家族もまたサポートを必要としているのです。

ほとんどのレットの子供は、1から2歳までに重度の障害をもつようです。はじめのサインである鎮静(しずかさ)や、動作に見られるわずかな異常は、出産後から存在するでしょう。しかし、レット症候群であるという特定の診断が出されるのは、通常は退行が起こったあとであり、5歳を過ぎることもあります。発達障害を早期に疑い、レットの変異原性試験(遺伝子検査)を希望される方がますます増えるに従ってこのような状況は変わりつつあり、退行前に診断を行うケースが増える傾向にあります。つまりは、協会は、ショック状態にあり、信じられない思いや怒り、自己喪失など、深い悲しみの初期の段階にある家族のサポートを要請されるという事です。協会には、サービスを提供するうえで重い責任と大きなチャレンジを与えられるわけです。

レット症候群である幼児の脳を知ることで、かなり詳しく問題を理解することができ、その分野に対する徹底的な研究が新しい見識をうみだします。MECP2の突然変異は正常な脳の発達を限定的(局所的)に中断させるため、選択的に異常がおこる機能があるなか、正常に維持される機能も同時に見られます。このように、正常な成長が妨害とともに進むと、学習の障害に特有のパターンが起こります。現在、レットに対する研究の目的は、影響を受けた遺伝子の発見を成功させることから、基本的な思考、しぐさや行動などの伝達を脳内で試みる成長期におけるニューロン(脳神経細胞)の異常の解明へとすすんでいます。これから得た知識によって、異常に対して集中的な介入を発展させることができ、完全な予防も可能になるかもしれません。後ほどBronwen Burford医師が話すかもしれませんが、彼の研究の中心は、赤ちゃんの行動を詳しく調べることです。ここでは、他の研究で解明された事について簡単に説明し、また、実際に行うケアに役立つガイドラインを紹介します。

レット症候群の患者の脳の発達は通常に比べて低く、多くの場合、成長が失われる現象が起こるのは2歳までです。発達の不良は部分的に解明されており、特に思考としぐさに関わる場所のニューロン(脳神経細胞)の間にあるべき正常な伝達が行われない事が原因であると分かっています。いくつかの重要な神経伝達物質や増殖因子が邪魔されており、現在、私たちはどの変化がはじめに起こるのか、そして、どれが初期の欠損による単純な結果であるのか、という事の解明を行っています。脳の発達に重要な物質であるBDGF(脳由来成長因子)P物質やセロトニンなどが初期に阻害されているのです。

幼児に退行が起きているときには、グルタミン酸塩の値が異常に高くなる、という新しい有力な証拠が得られています。この神経伝達物質は脳がつくり出し、刺激による値の上昇は正常な脳の急速な成長と一致します。レットではすでに発達の可能性が減っているので、これらの高い値は意味をなさないでしょう。そればかりか、正常に反応することができないニューロンにストレスを与え、子供に混乱と苦痛を与えます。早い時期に行う治療の目標は、退行期の改善や予防です。

私の望みでもありますが、退行が起こる前にもっと多くの子供達が識別されることによって、ストレスの多いこの時期にニューロンを薬でサポートすることを治療の課題とする正式な臨床試験が、主要なセンターによって大規模に行われることを可能にするでしょう。また、北京で行われた最も新しい議論と発表をうけ、レット症候群である幼児には、薬事法で医師に勧められる用量の(ビタミンEを含む)ビタミン剤を与えるべきであると、私は考えます。また、血中に含まれるL-カルチニンの値が低い場合には、これも与えるべきでしょう。これらの対策が、ストレスを受けたニューロンをサポートするでしょう。私は現在ある試験薬、先祖代々受け継がれる薬やハーブなどの使用は避けるべきであると申し上げます。安全で有効な用量が確立され、子供にとって害がなく助けになるものであるという、明らかな証拠が承認された試験によってえられるまでは避けるべきだと考えます。

幼少期の脳は、学習と回復においてとても大きな発達能力を持ち、それはレット症候群によって発達に制限がある場合でも同じです。幼児には、顔と顔を合わせる接触や、やさしくなでられること、コミュニケーションのサウンド、また、彼らが声を使う、物をさがす、手をさしのべるといった、新しいスキルを使おうとすることを後押しするはげみに対して反応するよう組み込まれており、これらはすべて、満ち足りた親や親族が、自然に赤ちゃんと一緒に行うことです。レットの幼児や赤ちゃんを育てる上で一番良い方法とは、程度に関わらず、子供がいつか発達の限界を迎えるだろうという事を受け入れ、彼女(もしくは彼)の自然体を個性として楽しむことです。そして、このような障害を持たない子供と比べてみると、レットの子供達の発達の向上はより多くの努力と成功によるものであるという事に気づき、それを喜ぶことです。レットの患者にとって、コミュニケーション能力は一生を通して強みになり、良いコミュニケーション能力の基礎は、その子の発声能力の発達のレベルに関わらず、赤ちゃんの頃からの顔と顔を合わせた接触や、ふれあいの経験で積み上げられます。子供にとって、早い時期の人間関係は、とても大きな価値になります。楽器の音にはとても特別な呼びかけの力があり、コミュニケーション手段として、また、対話(なげかけと反応、交信)や体の動きを発達させる、心を安らげるなどの効果があります。音楽療法は、子供から大人までのすべてのレット症候群の患者にすすめられます。

もちろん、レットの子供達を助ける方法は他にもありますが、それらには、特別な障害に対する理解と知識がともないます。大切な事は、すべての人において障害のパターンは非常に似ており、MECP2の突然異常が見つかり、発達の遅れがある乳幼児の重症度における将来の予想は、良く動き発声するというほぼ正常な程度から、とても重い障害を抱えるという程度までと、かなりかけ離れるという事を理解することです。MECP2の突然変異のタイプと、その遺伝子が体のどの部分で使われているかという事が重症の程度に影響します。地域の遺伝子専門家や小児科の神経学者などでこれらについての議論が行われるべきです。また、彼らは、レットの家族における再発のリスクについてすでにわかっている事を説明してくれます。嬉しいことに、多くの家族におけるリスクは低いです。

レットの退行期は、おそらく、患者本人とその家族にとって一番困難な時期でしょう。3歳までに数週間から数ヶ月続き、その間は特に手の使い方や発声といった、すでにできるようになったスキルが衰えたり消えたりし、子供はイライラして呼びかけに対する反応が少なくなるでしょう。しかしながら、うれしい事に、レットの子供すべてにこの退行期があるわけではありません。少数の重度の障害を持つ子供における新しいスキルは失われる事はありませんが発達率は減り、わずかなスキルは向上しますが、失われるものは見られません。退行期は困難ですが終わりがくること、そしてその後は、発達における初期の妨げの結果としてレット症候群の影響による重度の障害があるにも関わらず、子供はもっと積極的にコミュニケーションを取りたがるようになり、学習もでき、より幸せになるという事を家族が知っておくこと、支えになるでしょう。退行期の子供が一番よく反応を示すのは、子供が興味を持つ活動を励ます愛情のこもったやさしいケアですが、しかしそれは静かで、何かを求める様子は見えません。子供はしゃべらないと思いますが、それでも彼らに話しかけることは大切です、なぜならば、一般的には伝える力よりも理解する力の方が優れており、継続して接触をもつ事に意義があるからです。では、続いて退行によって現れがちなことを紹介します。

ほとんどの場合、姿勢を保つことが問題になります。筋肉の張力(垂直に引っ張る力という意味)を制御する脳が働かず、空間の中にある体の位置の把握が不十分であることが理由です。この障害は、はじめに筋緊張低下(筋肉の正常な緊張の低下、だらりとした状態)が現れ、その後すぐに筋緊張亢進(筋肉の正常な緊張の亢進、硬くなる状態)に変わります。体の動きが低下した結果、すべての関節が硬くなっていくのです。両親が子供にしてあげられる事は、動きに無理のない範囲で、最大限に子供の手足や背中をやさしく動かしてあげ、そして、子供が一人で動かすことを励ましてあげることです。プレイエリアなどのやわらかい場所や、暖かく、監視のいきとどいているプールなどは非常に効果があります。多くの子供は通常よりもだいぶ遅れて歩くことを学びますが、一人で、自分でうごく経験を多くつむことが後押しし助けるでしょう。理学療法のアドバイスが役に立つでしょう。

脳が持つ手の動きに対する制御が減らされるため、多くの場合、手を使うスキルに乏しく、無意識に繰り返される手の動きはとても多く見られます。両親は、子供がどうやって一番上手に手を使う方法を学んでいるのかを観察し、それがさらに上手くいくよう手助けをする事で、子供を助けてあげることができます。強制や抑制は無意味で、逆効果をうみます。ずっと擦るので皮膚が傷ついてしまう、また、手の動きを制限し調節することでのみ達成できる特有の事がある場合でのみ使われるべきです。また、レットの子供の多くには振戦(しんせん。震えのこと)が見られ、これがすべての体の動きに影響します。これも、脳が持つ体の動きや姿勢に対する制御の乏しさを示すサインです。十分に支える事ができる座席を使うことで彼女を助けてあげる事ができます。訓練を受けたセラピストが必要なアドバイスをしてくれるでしょう。

レットの患者の呼吸のリズムは乱れがちで、通常は、退行期の終わりに近づくにつれてよりあからさまになります。私は、もし家族がこのことをもっと早い段階で知っていたら、彼らが抱くであろう不安の多くを未然に防ぐことができるという事に気づきました。これは、脳が制御する自律性調節の異常が原因で起こります。子供はコントロールする事ができず、典型的な手とおなじく、イライラなどが悪化させることがあります。ほとんどの子供や大人はこの障害に慣れるようですが、仮に、失神や無呼吸(vacant spells) が見られた際には詳しく調べたほうが良いでしょう。なぜならば、現在は治療の開発が進み、有効な助けがみつかるケースがあるからです。Peter Julu医師はこの分野の先駆者で、現在はBreakspear病院の自律神経センターで活動しています。レット症候群の幼児で起こりがちな問題として、自律神経性無呼吸がてんかんと間違われて、抗てんかん薬を使って無意味な治療が行われることがあげられます。疑われる場合は、詳しい検査が必要です。

てんかんはレット患者の半数以上で見られ、子供が何かおかしいと気づくはじめの兆候となることもあります。てんかん発作が全身性になる(大発作)こともあります。そのような場合、診断は比較的かんたんで、自律神経性無呼吸との見分けがつかない時の手がかりになります。てんかんが起きているときに現われる脳内の障害や電気的信号のパターンは、EEG(脳電図、脳波図)でみられる、医学では「発作」と呼ばれる状態と完璧に一致します。もし、発作の最中に、EEGでこのような変化が見られない場合、全身の自律神経系のモニターではおそらく、自律神経的障害である可能性を示すでしょう。てんかんが起きたときは、通常は抗てんかん薬による治療が必要になり、多くの場合ではコントロールすることができます。また、年齢とともに落ち着くこともあります。

レットの幼児では睡眠の障害が多く見られ、睡眠リズムの研究は、脳の正常な「寝て起きるパターン」の発達の遅れを示しています。レットの子供の中には、メラトニン(脳から出る物質で、睡眠を導きます)が低い値を示すケースもあり、正常のパターンへの発達を促すために、継続的にメラトニンを与えることがよいかも知れません。しかし、もっと大切なことは、日中にできるだけたくさん活動し、「寝る時間、起きる時間」を習慣づける事です。子供には自分の寝室を与えて、必要であれば「みまもりアラーム」を取り付けましょう。

研究者に対して、複数のイギリスの家族から寄付されたビデオにより、退行期がはじまるまえにレット症候群を疑う方法を確立させ、また、退行期 の研究に多大な貢献をしました。

遺伝子確認の可能性と並んで行う早期に現れるサインの認識によって、レットの問題に対する治療や、最終的に問題の発展を止めるチャンスを得ました。また、現在私たちは、患者とその家族に対して早期かつ、より効果的なサポートを提供するチャンスを持っています。レット協会は、子供の障害との折り合いをつけなければならない家族に対して、引き続き早期のビデオ録画の提供の呼びかけと、レットの赤ちゃんの動きをおさめた録画を客観的に分析する研究への寄付を行うことで、この新しい発展の領域で多く貢献することができます。

Peter Julu医師

Breakspear hospital

Hertfordshire house, Woodlane, Hemel Hempstead, Herts, HP2 4FD










資料ソース
How can we help the youngest ones with Rett Syndrome
Dr Alison Kerr – October 2002






翻訳/編集;片目のにゃみ姉

2013年1月24日木曜日

レット症候群翻訳メモ - 診断による心への影響について


診断による心への影響について


はじめの反応

あなたの子供がレット症候群であることが最近になって伝えられたのであれば、おそらくは今もまだショックで動揺し、または感覚がマヒしたような状態で、受けた説明を受け入れる事が困難な状態でおられるかも知れません。あなたが子供に抱いていた夢や希望、期待などがすべて、あっという間に薄らぎ消えてしまうような感覚を抱くでしょう。あなたは大きな不安を抱え、混乱し、これから何が起こるかわからず、もしくは、パニックや怒りの感情を抱いているかも知れません。あなたが何を感じているにしても、それらの感情を抱くことはごく自然な事であり、診断を受けたことに対する正常で全うな反応です。しかしながら、心の痛みは変わらないでしょう。多くの場合、子供には特別な対応が必要であるということに気づいていくプロセスの始まりにこれらの感情を抱くことになります。

この時点で、あなたはレット症候群について何も知らない、もしくは既に何か知っているかもしれません。もしかしたら、手紙や電話で診断の一報を受け、それ以上の情報は受けていないかもしれません。あるいは、すでにインターネットで検索し得られるすべての情報を集め、そこで読んだ内容に恐怖を感じておられるかも知れません。

レット症候群であるという診断は、両親や兄弟をはじめ、祖父母、叔父や叔母、その他の人々を含む家族や親族すべての人に衝撃を与えるものです。あなたはショックを受け、孤独を感じ、周囲にどのように説明すべきか、と悩むでしょう。あるいは、何も語りたくないと感じるかもしれません。特にレットの患者には、できる事とできない事の能力にばらつきがあるので、将来起こりえることを考えて、あなたは恐怖を感じているかもしれません。おそらく、怒り、罪悪感、いきどおりや疲労感、しびれや不安感など異なった様々な感情のすべてを経験するかも知れません。

あなたは、「なぜ自分に起きたのか?」と感じているかもしれません。「なぜ私たちの身に起きたのか?」、「なぜ私の子供が他の子と違うのか?」、「何が原因なのか?」などなど。こういった疑問は、聞く事も、答えを出す事も難しいものです。あなたは、今向き合う現実に対して、自分に何らかの責任があると強く感じているかもしれません。「何か誤った食べ物や飲み物を口にしなかったか?」など、気づくと自分の行動を自問している事があるかもしれません。このような時には、レット症候群は遺伝子疾患であり、あなたが何をした、しなかった、という事とは無関係である、という事を思い出すことが大切です。



レット症候群とは?
         
レット症候群とは、主に女性に起こる神経障害で、約10,000人に1人の割合で起こります。最も一般的な遺伝子が原因で起こり、いくつもの深刻な学習障害をもたらします。生まれた時にはすでに持ちあわせており、症状は2歳頃により明白になります。通常、レット症候群の患者には一生涯にわたり日常の介護が必要になります。また、そのうちの大部分の方のX染色体にあるMECP2遺伝子に突然変異や異常が見られます。

1999年にこの遺伝子がレット症候群を引き起こすカギであると認識されて以降、この病気を持つ人たちの間で見える能力のばらつきがより明らかになりました。しかし、医師などの専門家があなたの疑問のすべてに答え、あなたの子供がどのように成長するであろうか予測をすることはできない、という事を覚えておく事が大切です。私たちは、今後、物事がどのようになるのか、という事について確信を持ちたがりますが、それが実現できない時にはとても不安になり、イライラすることになります。


レット症候群の診断の側面

診断という現実との直面には大きなショックをともない、また、一生涯に渡り高度な介護を必要とする可能性が高い、という見通しは圧倒的でもあります。

このような時期には、あなたを実践的にも、感情的にもサポートすることが出来る人々とつながりを持つ事が、とても大切です。辛い時に、もしもサポートをしてくれる身近な家族が少ない時やいない時には、友人や近所の人を頼る事も可能です。診断を受けると、まわりに誰かがいる、いないに関わらず、強い寂しさと孤独を感じるものです。もしあなたが孤独に感じていても、支援団体や同じ思いを持つ人からの支援と協力がそこにあるのだ、という事を覚えておく事が大切です。

あなたは、家族や友人、地域社会や医療機関からのサポートを得るための手配を行うことができます。自宅で行う介護の日常に慣れるまで時間がかかるかもしれません。また、中心になって介護を行う人を決める事も簡単ではないかもしれません。両親はそれぞれに独自の方法を見つけて解決し、もっとも維持することが出来ると感じる方法をとるでしょう。もしあなたが結婚や交際関係にあるのであれば、おそらく二人の間に不一致を感じる事があるでしょう。しかし、このような状況下ではごく自然のことです。なぜならば、両親や介護をする立場はストレスの多いものだからです。不一致を経験する事が無ければ逆に心配な状況といえます。なぜならば、それは感情が抑制されている事を示すからです。しかしながら、あなたが子供を愛する程にケアの需要は両親や介護者の自由を減らし、将来の選択肢にも影響を与えます。この現実を素直に認めて、お互い向き合って話し合いましょう。時には信頼のおける友人やカウンセラーを交える事も可能でしょう。

あなたはこれからも、レット症候群を知らない医師や看護婦などの専門家を含む多くの人を見かけるでしょう。そして、この事があなたの孤独感を強くするかもしれません。多くの親達が、同じような経験をもつ他の親達との会話が計り知れないほどに支えになると語ります。協会などの支援団体に連絡をする事で、あなたの話を聞いてくれる誰かとつながるかもしれません。そして、レット症候群の患者のケアで抱える実用的(日々の実践的なこと)、社会的(日々の社会生活で起こること)、感情的(気持ち)な問題を理解する他の介護者や家族たちと出会うことができるでしょう。話ができるという事は、サポートを受け、経験やためになる情報をシェア(共有)することができるチャンスでもあります。支援団体はまた、セラピーや、あなたが最も良いケアを維持するための研究情報について教える事ができ、また、その他のサービスも得られるようにあなたをサポートします。

診断を受けるという事は大変に苦しい経験ですが、しかし、あなたの子供がレット症候群であるという発見によって専門家が加わり、より焦点を定めることが可能になります。このことで、あなたのお嬢さん、もしくは息子さんの成長に最大限のチャンスを与え、彼らの能力を維持していく事が可能になります。

私たちサポートチームは可能な限り積極的であることをめざし、特に困難な時期のために構造化されたサポートを用意しています。また、介護者や家族が、似通った状況に遭遇した経験のある他の方と個人的に連絡をとるお手伝いもします。RSAUKは、私たちに連絡をくれた全ての方が、必要とするサポートを、彼らにとって正しい時期に受けることを願っています。

サポートチームへのお問い合わせは、電話もしくはメールでご連絡ください。







資料ソース
The Emotional Impact of Diagnosis
Witten by Rett UK






翻訳/編集;片目のにゃみ姉

2013年1月23日水曜日

レット症候群翻訳メモ - 体重の減少と増やし方


体重の減少と増やし方


なぜ起こるのか?

レット症候群の早い時期では、多くの乳幼児は問題なく成長し体重も増えます。しかし、症状が出はじめ、また、とくに体調不良のあとには体重増加が遅くなり、最終的に減少します。レット症候群の成人でとくに行動的ではない場合は、肥満につながる過剰な体重増加が起こることがあります。ほとんどのレットの子供たちが体重の増加や維持に問題を抱え、その原因には食べ物を飲み込むことが困難である、また食欲がない、などが考えられます。空気を飲み込みお腹が張る事も原因になります。てんかんや過呼吸をコントロールする薬が食欲を抑え、自分で食事ができないイライラが原因で食べ物を拒む患者もいます。また、多くの患者が行動的でもあり、そのため同年代の人よりも高い栄養素が必要になることも事実です。

理想の体重はどれくらいか?

親は、自分の子供の体重が不足しているのか、そうでないのかを判断することが難しいと感じることがあります。一番簡単に判断する方法とは、目で確かめる事です。子供が裸の時に背中をみると、うすい脂肪の層で覆われて肋骨が見えないのが理想です。時に、子供のお腹が異常に大きく出ていることがありますが、これは通常肥満ではなく、空気を飲み込むことが原因で起こります。子供の身体測定は定期的に行うべきで、体重は1から2ヶ月に一度、身長は少なくとも1年に一度は測りましょう。これらの測定値は体重と身長のパーセンタイルグラフに図式化することができ、標準値と照らし合わせることができます。その他に、BMI(ボディマス指数)でも肥満度を評価することができます。

どの栄養素が大切か?

体重を失う際には、ただ体から脂肪が失われるだけではありません。脂肪の蓄えが減ると筋臓器組織(脂肪を含まない筋肉や臓器)も失われ、体からタンパク質、ミネラル、ビタミンやトレース元素(微量元素。銅、コバルトやマグネシウムなど。動植物に不可欠とされる元素)が失われて、またこれら栄養素の蓄えも壊されます。逆にいえば、健康的に体重を増やすためにはエネルギーを追加し増やすだけではなく、これらの栄養素も筋臓器組織に蓄えていく必要があるということです。我々には、レット症候群の患者それぞれに必要とされる栄養素が何であるかはわかりませんが、一般的には、必要なタンパク質、ビタミンとミネラルは通常と変わらないと考え、従って、必要な食べ物のエネルギーもしくはカロリーは、成長期には25−50%増加されます。



体重の増加がうまくいかない時はどうしたらよいか?

ほとんどの食べ物には数種類の栄養素とエネルギーが含まれています。脂肪には一番高いエネルギーが含まれますが、心臓の病気との関連性から、多くの親は子供に高脂肪の食事を与える事に不安をおぼえます。飽和脂肪や動物由来の脂肪を使い過ぎないことが大切であり、また、トウモロコシから作られるマーガリン、ひまわり油やオリーブオイルなどの不飽和オイルを使用することで起きる問題はないようです。成人には少量のアルコールを追加して与えても良いでしょう、食欲の増進にもつながります。重症度に合わせた、この問題の解決に取り組むための現実的な方法はたくさんあります。

サプリメント

通常の食事で十分な栄養素を与える事が難しい場合には、特別に作られる補助食品(サプリメント)の使用をおすすめします。中には簡単に購入できるものもありますが、多くはかかりつけの医師から処方や、薬剤師を介して手に入れることができます。サプリメントを使用する前に、栄養士に子供の食事内容をチェックしてもらい、一番合ったタイプをすすめてもらうのが良いでしょう。もし、タンパク質、ビタミンとミネラルが十分に摂れているなら、エネルギー補給サプリメントを使用することが可能です。また、これらの栄養素が不足しているのであれば、総合栄養補給サプリメント(栄養学的に十分な栄養素を含むサプリメント)を使用するべきでしょう。

管を使う

通常の方法で食事をとることが難しい事があり、そのような時は、あなたが何を試してみても体重は増えません。これは具合が悪い時の一時的なものかも知れませんし、将来にわたる長期的なものかもしれません。このような場合、あなたとあなたのかかりつけの医療チームは、流動食を与えるための管の使用を検討することになるでしょう。もし、3ヶ月程の短期間の使用であれば、径鼻胃チューブを使用するでしょう。これは、鼻腔から通した管の先を胃の中に入れた状態にする方法です。挿入は素早くかんたんに行う事ができ、多くの親が習得し、自分で行っています。しかし、残念な事にレットの患者の多くは頻繁に自分で管を抜こうとしてしまいます。このようなケースや、管の使用がより長期になる場合は、胃瘻(いろう)処置が必要になるでしょう。これは腹部に小切開術を行う処置で、胃に直接管を通します。衣服で管が隠れ、いじりにくくなります。どちらの場合でも、ビタミン、ミネラルやトレース元素など必要な栄養素を完全に含む特別流動食を使って食事を与え、通常の成長と発達を促しましょう。また、流動食の中には食物繊維も含まれるものがあるので、便秘の解消にもつながります。



おわりに

ありがたいことに、今日、私たちが成長するための手助けとなる幅広い食材、特殊なサプリメントや摂食のテクニックがあります。どのような方法が取られるにしても、食事は楽しく行われるべきであり、したがって、レット症候群の患者や彼らの世話や介護をする人たちがみな喜びを感じるべきである、という事を覚えておくことが大切です。



資料ソース
Dr Margaret Lawson, Paediatric Dietician (2007)
Commissioned by Rett UK
http://www.rettuk.org/rettuk-public/rettuk/Family-Support/information-summary/Medical




翻訳/編集;片目のにゃみ姉