2012年7月11日水曜日

WWF; 英国のグリーンフード計画は具体性に欠ける


UK's Green Food Project too vague, says WWF 
By Nina Chestney. London. Mon July 9, 2012. 7;02pm EDT 

環境を害することなく上昇する世界需要に応ずるために、国内の食糧システムを精査する英国政府の計画。しかし、入手可能な価格の維持や、実施期間・目標設定の曖昧さへの批判を招いている。

グリーンフード計画とは政府・農家・食品産業・環境団体・消費者団体の間で結ばれる連携で、様々な分野や地理的領域において、どの様に食品提供と消費が変わることができるかを概要とする。

WWFの環境グループは、研究・技術・投資・土地管理・廃棄と消費を含む領域の発展を勧告する計画は、余りにも漠然とし過ぎている、と指摘する。声明では「WWFは、計画で勧告するいくつかの事項はぼやけていて、明確な目標や節目に欠けている」と述べる。

ところが、英国農業大臣であるジム・ペースは、計画は英国内の全ての食物連鎖を根本的に変える長期計画の“始めの段階”であると主張。「私たちは旧ソ連で掲げていた様な目標の設定を検討しているのではないが、全ての食物連鎖が一緒に変革されるような全体的なアプローチだ」と述べた。

計画は、肉の消費や動物飼料の安定化を含む消費域における“もっと具体的な議論”を呼んだ。すぐに止んだものの、より具体的な勧告を立てている。

行動への呼び掛け

「消費フォーラム設立は良くある先手だが、ただのおしゃべりの会では意味が無い。」WWFの役職員で英国の食糧計画を担当するマーク・ドリスコールはこう述べる。「より詳細な勧告や政府・企業や市民社会からの実施スケジュールを追報告しなければならない。」

英国政府の昨年の報告では、現在70億人の総人口は2050年までに90億人まで上昇する予想で、世界人口の需要を満たすためには、食糧生産量は70%増加される必要があると推定している。

急速な経済発展をする中国・インド・ブラジルなどは、食糧・エネルギーや水などのために燃料使用量の需要が増加し、一方、西の諸国でも肥満と残飯廃棄の量が上昇している。同時に、世界各国の食事内容もより西洋化が進み食肉需要の上昇を招いており、温室効果ガスの排出量が上昇する中で、土地やエネルギー消費にさらなる圧力をかける。

その勧告の中で、仮に今後30から40年で大きな技術の進歩が行われるのであれば、新しい農産物に対する研究は今から開始される必要がある、と計画では述べる。

研究や技術の進歩によって生じている新しいシステムは業界で受け入れられやすいだろう、とも示唆し、したがって土壌科学、農学や生態系の研究に大規模な投資が必要であろう。

また、政府は食糧関係、農業や環境の分野に対して優秀な若者を魅了し、将来の挑戦への後ろだてをする必要がある。計画の報告では、食品科学、技術や工学の分野におけるスキルの不足を踏まえ、2007年から2017年の間に、英国内の食糧及び飲料生産分野において137,000人の人員の入れ替わりが必要である、と述べる。

また、設備の強化をし、企業が気候変動にも対応でき英国の挑戦力を維持できる程の生産力の増加をするために、長期的かつ“多大な”財政投資が必要である、という。