2014年4月18日金曜日

強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder - OCD)



強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder - OCD


強迫性障害(OCD)は、強迫観念や強迫行動を起こす精神状態のことです。

強迫観念は、不要かつ不快な考えや想像、衝動です。これらが繰り返し起こるために不安を感じます。
「執着」は、通常何か楽しめる事に対する表現として使われますが、OCDでは不快で恐ろしい事を意味する「執拗」という意味で使われます。
強迫観念とは、執着の対象が現実になる事を防ぐために、継続して行う必要があると考える反復行動や精神的行動です。例えば、病気に感染することを執拗に恐れる患者は、トイレを使用する度にシャワーを浴びる必要があると考えます。



OCDの症状

OCDの症状は幅広く、軽度から重度まであります。患者の中には、強迫観念や行動にとらわれる時間が一日のうち1時間程度の患者もいれば、日常生活の全てをとらわれてしまう方もいます。
OCDによって受ける影響には個人差があるものの、患者のほとんどは思考と行動の一連のパターンに陥ります。そのパターンは大きく4段階に分かれます。

執着;立て続けに起こる不安感や恐怖によって心が打ちのめされます(例;家が火事になるのではないかという恐怖)
不安感;強迫観念や行動によって激しい不安や苦痛が起こります
衝動;そして、例えば全ての窓やドアに鍵が掛っているかを外出前に最低3回は確認するなど、不安や苦痛を減らすための強迫行動のパターンが身についてしまいます
一時的な緩和;強迫行動によって不安は一時的に和らぎますが、執着と不安がすぐに戻るために一連のサイクルが再び始まります

OCDの症状についての情報はこちら;



OCDの要因

OCDの要因は複数あると考えられています。脳の発達に影響を及ぼすある遺伝子の継承を示す証拠があり、家系と関連しているケースもあります。

脳画像診断では、OCD患者の脳の一部に血流の増加や過活動などの異常も示しています。強い感情やそれに対する反応をつかさどる脳の部分が影響を受けている事が示されています。

さらに、研究ではOCDの患者の脳内セロトニンの不均衡(訳注;バランスの崩れ)が示されています。セロトニンは、脳細胞間の情報伝達を担う神経伝達物質です。

OCDの要因に関する情報はこちら;



かかりつけ医の診察

恥ずかしさや当惑を感じる事が原因で、OCDの患者の多くがかかりつけの医師を受診し症状を説明することに対して消極的です。家族や友人にも症状を隠す事もあります。

もしあなたがOCDを抱えている場合、それを恥じたり悩んだりする必要はありません。OCDは糖尿病やぜんそくのように長期的な健康状態であり、また、あなたに責任がある訳でもないのです。

OCDを抱えているのであれば、近くのかかりつけの医師を受診するべきです。掃除の頻度はどれくらいか、物の並べ方にこだわりを持っているか、など、医師は初めに多くの質問をするでしょう。

かかりつけの医師がOCDを疑う場合は、専門家の評価を受ける必要があるでしょう。

OCDの診断方法に関する情報はこちら;



OCDの治療

OCDと診断された場合、患者の生活能力が受けている影響の程度によって治療内容は異なるでしょう。
治療では行動療法を取り入れ、患者の行動を変えることで不安を減らします。そして、投薬により症状をコントロールする手助けをします。

OCDでは通常、認知行動療法(CBT – Cognitive Behavioral Therapy)又は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤と呼ばれる抗うつ剤(SSRI – Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)を用いて治療が行われます。 認知行動療法とは会話を通して行う治療で、患者の思考と行動を変える事により、患者が自分の問題にうまく対応するための手助けをすることができます。

OCDの程度によって異なりますが、精神衛生管理の専門家による評価が必要になるでしょう。

OCDの治療に関する情報はこちら;



複雑化

OCDを抱える方がうつ病を発症する事もあります。憂鬱な気分を無視するべきではない理由は、うつを治療せずに放置するとより重症になる可能性があるからです。うつに対して治療を行わないと、OCDの症状に対応する事がより困難になります。

気分がとても落ち込んだ状態で過ごす間、患者は憂鬱な状態にあります。今まで楽しかった事に対して喜びを感じなくなります。このような事がある場合は、かかりつけの医師の診察を受けるべきです。

OCDや重度のうつ状態にある時、人は自殺を考える事もあります。

憂鬱な気分や自殺を意識した際には、ただちにかかりつけの医師や医院を訊ねましょう。



予後について

OCDを抱える方にとって一番大切な事は、助けを求めるという事です。治療をせずに放置するとOCDの症状が進行する事が多く、またより悪化する事もあります。治療を行わない場合、OCDを抱える方の半数近くが30年後も症状を抱えたままです。

治療を行えばOCDの予後の見通しは明るく、多くの方が完治を成し遂げるか、少なくとも生活の質の良い人生を楽しめるようになります。