2014年2月12日水曜日

動物実験に関するQ&A

Q&A: Animal research
By Fergus Walsh
Medical correspondent
14 March 2012 Last updated at 13:49 GMT


全ての海運会社と2つを除く全ての空運会社が、研究所に運ばれる運命にある動物の運搬を停止した、という報道が、新薬の研究が後退するのではないかという危機感を呼び起こしている。ところで、医学研究において動物はどれほど重要なのでしょうか?そして、何のために使用されているのでしょうか?


英国で行われる動物実験の数はどれくらいか?
本省の発表によると、2010年では370万の「科学的処置」が動物で行われています。この数は、遺伝子組み替えをした動物の繁殖が半数を占めており、繁殖を除いた処置の数は210万です。

英国は、世界でも最も厳しい規則を設けています。許可証は、非動物代替法が無い場合にのみ1986年アニマルアクト(科学的処置)法にそって発行され、期待される効果が動物に与える影響を上回り、また使用される動物の頭数と与える苦しみは最小限に抑えられます。フランスとドイツでも、英国が毎年行う処置と同じくらいの件数が行われています。

使用される動物種は何か?
使用される動物の大多数はマウス(72%)で、他、魚(13%)、ラット(8%)、鳥(4%)と続きます。犬、猫、ヒト以外の霊長類の利用は0.5%以下です。試験の範囲は広域に渡りますが、46万6千件にのぼる最も大きい単一部類には免疫系が含まれ、次に神経系が続きます。全ての新薬は、動物を用いた安全性試験(毒性試験)を受けなければなりません。2010年では約40万件の同試験が行われています。

動物実験はなぜ必要なのか?
すべての大手医療研究団体が、人の病気の理解と新しい治療の開発のために動物実験が必要不可欠であると同意しています。遺伝学に対する理解の発展により、特定の遺伝子特性を持った動物を作り出す事が可能になるため、研究者が癌、心臓病、脳卒中、認知症などの状態の範囲を研究する事ができるようになります。

この問題を問いただす疑問が多数あります。2002年、動物実験に対する上院特別委員会報告では以下のような結論がなされています;「動物実験が、人間の医療と動物の健康の両方に多大な科学的発展をもたらしている事を確信した」。2006年に、医学アカデミー(Academy of Medical Sciences)、英国王立協会(the Royal Society)、医学研究評議会(Medical Research Council)、ウェルカムトラスト(Wellcome Trust)が共同で発表したウェザーオール報告では、研究で使用される非人間の霊長類において「科学的及び倫理的な大きな問題」が指摘されている。

動物実験は道徳的か?
動物実験に対する賛否両論は常にあります。多くの人が、残酷で非倫理的であると訴え、研究におけるあらゆる動物の使用に反対しています。動物実験の廃止を求める英国の組合(the British Union for the Abolition of Vivisection - Buav)は、100年以上にも渡り全ての動物実験の廃止を訴えてきました。過去10年間の間に繰り返し世論調査が行われていますが、不要な苦しみを含まず、真剣な医療もしくは救命を目的とし、代替法がない、という特定の状態の決定的な条件下において、研究に対する強い支持が伺えます。

動物実験は実用的か?
動物実験反対派は、動物実験が残酷なだけではなく、無意味であると確信しています。動物は人間ではなく、多くの動物種が私たちの病気にはかからないのです。しかし、違いがあるにも関わらず、マウスが大多数を占める実験動物は、病気を理解する上で必要不可欠である事が科学界から窺い知れます。最先端の科学は、動物実験の協力によって成し遂げられてきた医療の発展という富を示しています。これには、新しいワクチン、癌やパーキンソン病に対する治療、ぜんそくやエイズに対する治療があげられます。去年、サルを用いた研究に対してパトリック・ベイテソン教授の主導によりレビューが行われ、研究が有益であり、継続されるべきである事が明らかになりました。しかし、約10件に1件のプロジェクトでは科学的、医学的、社会的利益の有無が不明瞭であるとも示されています。


英国の動物実験計画に目標見えず

No target in UK animal tests plan
By James Morgan
7 February 2014 Last updated at 11:29


英国政府は、研究における動物の使用に対する代替え、精緻化と頭数の削減を含む実施計画(3Rs)を発表した。

3Rsは、可能な限り代替法を用いる事を科学者に推奨する事を誓うものだ。

しかし、金曜日に発表された戦略には動物実験の総数削減に対する公約は盛り込まれておらず、増加している。

先の選挙で、連立が科学研究における動物の使用数削減を公約したにも関わらず、である。

その代わりに、英国における科学の向上を手助けする、新しくより倫理的な研究手段を政府は推進する方針だ。

「これは数値目標ではありません。」大学と科学の大臣を務めるディビット・ウィレットは述べる。「公約は“動物の使用の削減に努める”事だ。最終的には、最終的なあり方は科学的進歩のパターンによるだろう。英国は科学分野における世界的リーダーであるが、動物福祉の懸念においても同様である。我々の取り組みは、英国の素晴らしい伝統であるこれら二つを一緒にさせる事だ。我々の3Rsの取り組みは絶対的なものである。」

「人為的」に焦点
防犯の大臣で本省の業務を主導するノーマン・ベィカーは、動物実験の絶対数に焦点を当てた「人為的なもの」になる、と述べている。

3Rsを介して行わなければ、我々の数値はより高くなる。私たちの優れた科学的基盤によりもしも海外から科学者を誘致した場合には、合計数に影響するでしょう。科学分野にとって、動物の使用頭数を最低限にする事は好機になる可能性もあります。このような文献を、世界中のどこか他の場所でも見つけられるでしょうか。」

動物実験の終了を呼び掛ける、動物実験の廃止を求める英国の組合(the British Union for the Abolition of Vivisection - Buav)は、この戦略は“好機の損失”であると言っている。

Buavの最高経営責任者であるミシェル・シュウは、「これはごまかしです。動物実験の削減を実行すると政府が公約したにも関わらず諦めた、という事の現れです。この公約が破られたという事は、英国の研究所で苦しんでいる何万頭もの動物のために政府が有意義で持続的な変化をもたらすチャンスを失った、という事です。」と述べる。

英国反動物実験協会(Navs)の最高経営責任者であるジャン・クリーマーはこう述べている。「驚く事に、政府は動物研究の失敗を認めており、また“より良く、早く、安い非動物性へのアプローチ”への前進に対する無力をも訴えているのです。」

続伸
動物保護を行う団体である国際動物愛護協会(HIS)は、政府の計画に慎重であるが歓迎の意を示している。

動物実験政策部長のエミリー・マクルボーは、「動物で試験を行った新しい医薬品のうち92%が人の治験で失敗している今、この計画自体が医薬品開発における絶望的な行き詰まりを認めている。また、雑誌編集者とその査読パネルの間にある基礎となる保守主義がもたらす壁をも浮き彫りにしており、もし発展がなされた場合には克服する必要があります。」と述べる。

動物実験による進歩についての理解の促進を行う、動物実験を理解する会の最高経営責任者のウェンディ・ジャレットは「 英国において、十分に管理された動物実験の継続した必要性を示すとても明確な政府の枠を超えた発表を歓迎します。」と述べている。

計画に対する、バイオ産業協会(BIA)の反応は前向きだが、最高経営責任者のスティーブ・ベイツは「どのようなアクションが取られても、英国企業の新しい技術と商品の開発と、研究の継続能力に悪影響を与えないよう政府が保証しなければならない。」と述べている

政府のための我々の計画という書類は2010年の連立の公約であるにも関わらず、動物実験の数は引き続き着実に伸びている

最新の報告では、遺伝子組み換えをされた(GM)動物の使用に支えられ2012年までに8%伸びている。

本省によると、2012年は、約411万件の科学的実験が動物で行われ、前年よりも317万200件増加している。

マウスは最も多く使用され、ラット、魚、旧世界の猿などの霊長類、ニホンザルやヒヒの類などが後に続く。